|
今日の母は無表情だった。庭に出てみるとムラサキハナナが一気に咲き始めている。日々の移ろいを感じる瞬間だ。認知症の母と自宅の庭を3年間、ほぼ毎日、日記的に撮影。期間は2001年9月4日から、母が亡くなった2004年10月26日まで。撮影した枚数は3600枚を越えた(本書冒頭より)。森山大道に師事し路上スナップを撮り続けてきた写真家山崎弘義が祈るように撮影した写真と日々の記録からなる静謐かつ渾身の写真集。
|
|
■DIARY
■解説
DIARY 母と庭の肖像 (山崎弘義)
静謐と渾身の間 (荻野アンナ)
見ることの向こう側、「写真」と隣り合わせにあるもの
(相馬 泰)
■あとがき
■略歴
|
|
山崎弘義(やまざき・ひろよし)
1956年4月、埼玉県に生まれる。1980年3月、慶應義塾大学文学部哲学科卒業。1980年4月、市役所に入り広報課に配属、初めて一眼レフを手にする。1984年、路上スナップする山内道雄氏に衝撃を受け写真を志す。1985年4月、東京写真専門学校報道写真科Ⅱ部入学(1987年卒業)。1986年1月、フォトセッション‘86に加入、森山大道氏に師事。2012年から2021年まで日本写真芸術専門学校で非常勤講師。現在、ギャラリーヨクトメンバー。
|
|
優しさと、しぶとさが、写真の原質を踏まえて露れている。
森山大道(写真家)
渾身という言葉が「DIARY」には相応しい。認知症の母親と庭の一隅をセットにして、日々撮り重ねたものが一冊になってみると、静謐にして渾身、という不思議な作品が成立した。
荻野アンナ(作家・慶應義塾大学文学部教授)
|
|