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ケアするラジオ ―寄り添うメディア・コミュニケーション―


ケアするラジオ
―寄り添うメディア・コミュニケーション―
金山智子 編
早川宏美 装幀・装画
定価(本体2,600円+税)
2024年3月25日発行
四六判並製/276頁
ISBN 978-4-9912486-3-4 C0036
発行 さいはて社
在庫 あり

数量 :   





音声によって、人を癒し、励まし、支え、寄り添う。ラジオという親密なメディアについて、ケアの概念のもとに考察し、離島、刑務所、病院、被災地における実践など、多様な事例を紹介する。メディア研究に新たな地平を切り開く、意欲的論集。


はじめに

第I部 ラジオによるケア

第1章 なぜラジオは親密なメディアか 福永健一
 1 ラジオとケアをつなぐ「親密さ」
 2 ラジオの親密さとは何か
 3 物質的特性からみたケア・メディアとしてのラジオ
 4 ラジオによるケアの課題

第2章 ラジオによるケア・コミュニケーションとは 金山智子
 1 はじめに
 2 ケアの倫理とは
 3 マスメディアとケア
 4 デジタルメディアとケア
 5 ラジオの放送トーク
 6 ケアと対人関係コミュニケーション
 7 ラジオによる五つのケア・コミュニケーション
 8 おわりに

第II部 ケアするラジオ

第3章 「知ること」から寄り添う島ラジオ 金山智子
 1 はじめに
 2 全国初の公設民営型ラジオ局エフエムうけん
 3 自社制作番組とリスナー投稿
 4 メッセージカードと子どもの投稿
 5 お年寄りの語りと自己肯定
 6 ラジオを介した「知っている」つながり
 7 おわりに

第4章 立ち直りを支える刑務所ラジオ 芳賀美幸
 1 はじめに
 2 「沈黙」の刑務所
 3 所内向けラジオの役割と可能性
 4 内と外のつながりを創る
 5 刑務所ラジオにみるケア

第5章 ナラティブ空間としてのホスピタルラジオ 小川明子
 1 はじめに
 2 イギリスにおけるホスピタルラジオ
 3 日本における展開
 4 病とラジオ ― 再生のためのメディア・コミュニケーション
 5 おわりに ― 社会的処方としてのラジオ

第6章 ラジオのつながりが拓く多文化共生 吉富志津代
 1 はじめに
 2 震災の救援基地に生まれた市民メディア
 3 ひょうごラテンコミュニティ(HLC)の団体の設立経緯と活動
 4 HLCの防災教育活動の広がり
 5 おわりに

第7章 こどものラジオ番組制作と地域のつなぎ直し 久保田彩乃
 1 地域コミュニティの分解と断絶
   ― ラジオによる「つなぎ直し」の試み
 2 「地域の子ども」という存在
 3 「ふるさと」という場所の意味
 4 「ラジオ×子ども」がもたらす地域のつながりの持続可能性

第III部 音声メディアとケア

第8章 ケアというメディア・コミュニケーション 金山智子
 1 はじめに
 2 マスメディアを介した対人コミュニケーションの必然性
 3 ラジオによるケア・コミュニケーションの四つの重要性
 4 デジタル環境における音声メディアのケア・コミュニケーション
 5 おわりに

特別寄稿 なぜラジオはケアするメディアになったのか
  小玉美意子

おわりに


金山智子(かなやま・ともこ)
情報科学芸術大学院大学教授。オハイオ大学大学院コミュニケーション研究科博士後期課程修了(博士[マスコミュニケーション学])。著書に『コミュニティ・メディア ― コミュニティFMが地域をつなぐ』(共著)金山智子編、慶應義塾大学出版会、2007年、『小さなラジオ局とコミュニティの再生 ― 3.11から962日の記録』(共著)災害とコミュニティラジオ研究会編、大隅書店、2014年などがある。

福永健一(ふくなが・けんいち)
四国学院大学社会学部助教。関西大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(博士[社会学])。著書論文に「声のメディア史 ― 1870年代から1930年代の米国における電気音響メディアの歴史社会学的研究」関西大学博士審査学位論文、2020年、「拡声器の誕生 ― 電気音響技術時代における拡声の技術史と受容史」『音と耳から考える ― 歴史・身体・テクノロジー』(共著)細川周平編、アルテスパブリッシング、2021年などがある。

芳賀美幸(はが・みゆき)
名古屋大学大学院情報学研究科博士前期課程在籍中/中日新聞記者。青山学院大学国際政治経済学部。論文に「刑務所ラジオにみる『承認』のコミュニケーション ― 受刑者とDJへのインタビューから」『社会情報学』12(3)、2024年などがある。

小川明子(おがわ・あきこ)
名古屋大学大学院情報学研究科准教授(2024年4月より立命館大学映像学部教授)。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程中退(博士[学際情報学])。著書に『デジタル・ストーリーテリング ― 声なき想いに物語を』リベルタ出版、2016年、『ケアする声のメディア ― ホスピタルラジオという希望』青弓社、2024年などがある。

吉富志津代(よしとみ・しずよ)
武庫川女子大学国際センター長/心理・社会福祉学部教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了(博士[人間・環境学])。著書に『多文化共生社会と外国人コミュニティの力 ― ゲットー化しない自助組織は存在するか?』現代人文社、2008年、『ソーシャルビジネスで拓く多文化社会 ― 多言語センターFACIL・24年の挑戦』明石書店、2023年などがある。

久保田彩乃(くぼた・あやの)
福島大学教育推進機構特任助教/一般社団法人ヴォイス・オブ・フクシマ代表理事。東北大学大学院情報科学研究科博士前期課程修了(修士[情報科学])。論文に「3.11アーカイブにおける福島の人々の声の記録「Voice of Fukushima」の意義と今後の可能性に関する考察」『デジタルアーカイブ学会誌』5(4)、2021年、「メディア制作を通じた子どもの「地域とのつながり」認識の変容に関する研究」『メディア研究』101、2022年などがある。

小玉美意子(こだま・みいこ)
武蔵大学名誉教授。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程満期退学。著書に『新版ジャーナリズムの女性観』学文社、1991年、『メジャー・シェア・ケアのメディア・コミュニケーション論』学文社、2012年などがある。

早川宏美(はやかわ・ひろみ)
デザイナー/イラストレーター。グラフィックデザイン、イラスト、手書きの文字を活かしたデザインが得意技。本書では、装幀以外に装画および本文デザインも担当している。






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